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20世紀で最も美しいピアノ*ロベール・カサドシュ フランスらしい気品を持ち合わせながらも己に酔うことなくスタイリッシュ

20世紀で最も美しいピアノ*ロベール・カサドシュ フランスらしい気品を持ち合わせながらも己に酔うことなくスタイリッシュ

DE CBS 77346 カサドシュ ラヴェル・ピアノ曲全集

Robert Casadesus 1899.4.7-1972.9.19

フランスのピアニスト、ロベール・カサドシュが没した日(1972年9月19日)。フランスらしい気品を持ち合わせながらもその演奏は、己に酔うことなくスタイリッシュなのが特徴である。ドビュッシーやラヴェルはもちろん、モーツァルトも得意とし、他にも厳格なドイツものにも造詣が深かった。音楽一家に生まれ、甥のジャン=クロードは指揮者であり、その孫であるトーマス・エンコは現在ジャズピアニストとして活躍している。

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カサドシュは既に定評の有るモーツァルトとラヴェルを最も重要なジャンルの作品に据えていたのではと思いたくなるレコード。清楚で淡々と演奏していて、常にスタイリッシュです。いわゆる、ソリストとしては絶対に必要な「俺が俺が」と言って前面に出ていく強さがほとんど感じられない、最初から最後までカサドシュの美学の中で事は進んでいくように思えます。
カサドシュは些細な事に拘らない美学が見え隠れする名演を、“20世紀で最も美しいピアノの音色”で常に聴かせます。
  • DE CBS 77346 カサドシュ ラヴェル・ピアノ曲全集
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Maurice Ravel – Robert Casadesus ‎– Piano Music of Ravel

  1. 第1集 ABL.3012
    1. 亡き王女のためのパヴァーヌ
    2. シャブリエ風に
    3. ボロディン風に
  2. 第2集 ABL.3046
    1. 組曲「マ・メール・ロワ」
    2. ハバネラ
    3. 水の戯れ
    4. 夜のガスパール
  3. 第3集 ABL.3062
    1. 組曲「クープランの墓」
    2. 高雅で感傷的なワルツ
    3. 前奏曲
    4. ハイドンの名によるメヌエット

「ドビュッシーの音楽はショパンから派生し、ラヴェルの音楽はリストから派生する」とは、カサドシュのインタヴューに応えた言葉が由来です。

 カサドシュの録音は登場時から、その客観性をいわれ演奏の古典となったものでしたが、特質はフランス的なもの。全体に快速なテンポで軽いタッチで弾き流しており、最近の演奏家が陥りがちな印象派風なべとべとした演奏とは一線を画します。組曲「クープランの墓」でのクラヴサンの音楽の伝統が連綿と綴る音のアラベスクは、緻密に向かう性向があるカサドシュに合っている。緻密、端正というだけでは割り切れない作品の多層があるのです。典雅な香りや、知的なのにどこか遊び、ペーソスをもっていても嫌味にならない。古典的たたずまいが典雅と両立しているものは非常に稀なことです。
 作曲者と親交のあったカサドシュだけに、そこに込められた豊かなニュアンスには強い説得力があり、美しい音色がとても魅力的です。カサドシュのレパートリーは決して広くなく、むしろ適した曲目はきわめて限られたものでした。そのレパートリーにはドイツ音楽も多く、まさに形から入るラヴェルに適性を示します。LP 期、多くのものが再録を行ってきましたが、ラヴェルの独奏曲は時間的にも体力的にも余力があったにも関わらず、このモノラルの録音のみです。つまりはそれだけ、当録音が高い精度を達成していたということでしょう。音質はモノラルとしては最上の部類で鑑賞には支障ありません。ステレオ録音盤はありません。

【ロベール・カサドシュのプロフィール】1899年パリに生れたカサドシュ(Robert Casadesus, 1899年4月7日〜1972年9月19日)は1922年からラヴェルと共同でピアノロールの録音を行い、欧州各地でラヴェルと共演した経歴を持つ。大戦中アメリカへ亡命した事もあって、米 Columbia に多くの録音を残した、これも米録音。彼の抑制の効いた古典的様式は彼の後、続く者が現れなかった。M.アース、C.エルフェ等を輩出。仏ピアノ界の重鎮的存在。一聴は大人しいが、その美しさは絵画的。指の回るピアニストは多くなったものの、カザドシュのように知的で香りたつような洗練された感性をもつピアニストはまったく少なくなってしまった。

  • オーダーはリンク先の詳細掲載ページで品番 / 34-22215
  • 販売価格6,600円(税込)

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愛がそこから湧き出るように、その音符を愛してください*バルビローリ指揮BBC響 ベートーヴェン・交響曲第3番《英雄》

愛がそこから湧き出るように、その音符を愛してください*バルビローリ指揮BBC響 ベートーヴェン・交響曲第3番《英雄》

通販レコードのご案内バルビローリのベートーヴェンは比較的珍しく、稀少レパートリーのコレクターズアイテム。

GB EMI ASD2348 バルビローリ ベートーヴェン・交響曲3番「英雄」《英初期カラー・スタンプ・ドッグ盤》GB EMI ASD2348 バルビローリ ベートーヴェン・交響曲3番「英雄」 バルビローリ卿晩年の演奏ですが、音楽は冒頭から表現意欲にあふれ、遅いテンポの中にさまざまな要素が、丹念かつドラマティックに描き込まれて情報量はとにかく膨大。この指揮者が元来、劇的なものへの強い志向を持っていた事を十分に窺わせるユニークな名演です。
 “良質なワインのように、年を経るに連れて芳醇な味わいを醸しだした指揮者”と評されるように、バルビローリは典型的な大器晩成型で、極めてヒューマンな人柄とリハーサルのたびごとに『その音符を愛してください、愛がそこから湧き出るように』と楽員に呼びかけたという音楽への奉仕者の姿は、聴衆と楽員の双方から敬愛を浴びた。
 1967年ステレオ録音の『英雄』は、ロマン主義的なベートーヴェン ー しかも〈ロマン主義的傾向〉、ロマンティックな情緒と言い換えたほうが理解しやすいだろう ー がデフォルメされて表現されている。激しく好みの分かれる演奏だろう。この演奏は、バルビローリの音楽を愛する人々でなければ、なかなかに容認できない程の個性を備えており、この演奏によって、場合によってはベートーヴェンのこの交響曲を誤解してしまうという危険さえ孕んでいるとも言える。しかし、わたしはここに ー 別項を立ててもいいくらいに ー 拘りたい。折しも同時期に起こる〈古楽器演奏〉それを尻目に徹頭徹尾、晩年のバルビローリ流に染め上げられた良く歌い、伸びやかな、発見も有るベートーヴェンだ。
 際立って長いのが第2楽章であり、音楽が止まってしまうのではないかと思うほどギリギリ瀬戸際のテンポで、一音一音を慈しむかのように音を紡いでゆくそのスタイルは、彼のマーラーにもつながるような節がある。進めば進むほどテンポが遅くなり、それはあたかも大地のうねりのようである。しかし決してテンションが下がることはなく、聴く者の耳を離さないパワーと緊張感と魅力に溢れている。ウィーン・フィルは都合がつかなかったのか、彼が後世に遺したいベートーヴェンを演るには当時のハレ管では崩壊しただろう。そこでBBC交響楽団の技量と底力に期待し、最善の可能性を感じたのだろう。遅咲きの狂い咲き、ならぬ。翌年急逝する最後の大輪、ギリギリのチャンスだったのだ。

バルビローリのベートーヴェンの交響曲録音は意外に少なく調べた限りでは次の5回となります。
 ベートーヴェンの交響曲第4番:ニューヨークフィル(1936年録音)/交響曲第5番:ハレ管弦楽団(1947年録音)/交響曲第1番:ハレ管弦楽団(1958年録音)/交響曲第8番:ハレ管弦楽団(1958年録音)/交響曲第3番:BBC交響楽団(1967年録音)。
 この時代の巨匠と言われた指揮者のなかでは、異例と言っていいほどの少なさです。そして、最もバルビローリらしさが炸裂しているのが、この「エロイカ」でしょう。スローなテンポで朗々と歌われる「エロイカ」は、バルビローリだからこそ成し得た名演だと思います。是非、一度聴いて下さい。

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名曲名盤縁起 アラウのバッハ演奏から発散された明るい香気 J.S.バッハ〜パルティータ第2番より「サラバンド」

名曲名盤縁起 アラウのバッハ演奏から発散された明るい香気 J.S.バッハ〜パルティータ第2番より「サラバンド」

南米出身の名ピアニスト・アラウ没 ― 1991年6月9日

FR PHIL 412 099-1 クラウディオ・アラウ リスト・超… 誰が決めたかは定かで無いが、「南米生まれの3大ピアニスト」がいる。アルゼンチンのマルタ・アルゲリッチとダニエル・バレンボイム、そして1991年の今日他界したチリのクラウディオ・アラウだ。アラウは十代前半でヨーロッパに渡り、ベルリンの音楽院で才能を磨いたせいか、大得意にしたリスト以外では、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスと並ぶドイツ正統派のレパートリーに、ドイツ人以上にドイツ的な演奏を聴かせた。

パルティータ(Partita)【1726~31年作曲】
 この作品は「イギリス組曲」や「フランス組曲」と同様、クラヴィーアのための大組曲集である。1726年から作曲され、個別に出版してきた作品を1731年にまとめて出版したと言われているがはっきりとは分かっていない。この作品は傑作として名高い上に演奏難度が高く、出版当時から多くの賞賛を得続けてきた。
 例えば19世紀のバッハ研究の音楽学者であったフォルケルも「美しく、響き豊かで表情に富み、いつまでも新鮮さを失わない」と賞賛している。ちなみにパルティータとは組曲とほぼ同じ意味であるが、バッハ自身は組曲よりもパルティータの方がより自由度が高いものと考えていたようである。
NL PHIL 6747 003 クラウディオ・アラウ ショパン・ピ… アラウが最後に録音したのは、ドイツ音楽の開祖といえる大バッハの《パルティータ集》だったので、彼の白鳥の歌として第2番の「サラバンド」を聴こう(YouTube動画の13分51秒から)。バッハのパルティータは性格の異なる舞曲を幾つか並べた組曲形式の音楽。この「サラバンド」は荘重な音楽だが、どこかラテン的な趣がある。アラウの演奏から明るくほのかな香気が立ち上るのは、南米人ならではのリリシズムのせいであろう。

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