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自発性の境地 ― ライナーが〝十八番〟とするリヒャルト・シュトラウスを〝我等の〟作曲家と自慢するオーケストラ

自発性の境地 ― ライナーが〝十八番〟とするリヒャルト・シュトラウスを〝我等の〟作曲家と自慢するオーケストラ

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GB DEC ECS674 フリッツ・ライナー R.シュトラウス・ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら , 死と変容

GB DECCA ECS674
(演奏者)フリッツ・ライナー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(曲目)リヒャルト・シュトラウス ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、死と変容

余りにも厳しい要求をするためにシカゴ交響楽団の楽団員に嫌われていたライナーと、指揮者に対して「我々の音楽を邪魔しないでくれ」という「セリフ」を言い続けていたウィーン・フィルとの競演。結果的には、彼らの良いところが抽出されている様な見事な演奏に仕上がっている。RCA発売のレコードですが、録音は1956年9月「指輪セッション」で高名なウィーン・ゾフィエンザールでデッカ・チームのジョン・カルーショー/ジェームス・ブラウンが担当したライナー&ウィーン・フィルの名盤。ウィーン・フィルとの集中度の高いこの名演奏は、カルショウのプロデュースにより、ステレオ黎明期録音とは信じ難い見事な第一級のオーディオファイル盤に仕上がっています。

この〝大家のゆとり〟に敏感に感応している名門オーケストラの献身。録音時、フリッツ・ライナーは米RCAの専属であり、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は英デッカと専属契約を結んでいた。ライナー指揮ウィーン・フィルの組合せは珍しく、専属契約の制約が厳しかった1950、60年代はデッカとRCAが北米に販路を持っていたことで提携関係にあったからこそ実現した夢のプロジェクトで、ゲオルグ・ショルティの出世作となったワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」を手掛けたプロデューサーのジョン・カルショウと、エンジニアのゴードン・パリーの名物コンビが携わっています。録音会場もその「ニーベルングの指環」と同じウィーンのゾフィエンザールで行われた。英デッカに残したLP4枚分の録音のうちの、本盤は1956年9月録音の2曲の交響詩です。両曲を作曲したリヒャルト・シュトラウスと縁のある、名門ウィーン・フィルを、一世を風靡した名指揮者ライナーが指揮した。だけでなく、そのメリハリのある指揮ぶりに、自発性に溢れた音楽性をもつオーケストラが、敏感に感じ取っているのが伝わってくる贅沢極まりない録音です。

シカゴ交響楽団に黄金時代をもたらしたライナーとリヒャルト・シュトラウスの録音史上における結びつきにも定評があります。ピッツバーグ交響楽団音楽監督時代にすでに4つのオーケストラ作品 ― 交響詩『ドン・ファン(1941年1月9日)』『ドン・キホーテ(1941年11月15日、チェロ独奏は、グレゴール・ピアティゴルスキー)』『英雄の生涯(1947年11月10日)』、組曲『町人貴族(1946年2月4日)』をCOLUMBIAにSP録音していますし、1953年にシカゴ響の音楽監督に就任し、1954年3月6日と8日、RCAへの最初の録音に選んだのも交響詩『英雄の生涯』と『ツァラトゥストラはかく語りき』でした。かつてライナーがドレスデン宮廷歌劇場の指揮者を務めていた時期(1914〜1921)にはすでに交流があり、『影のない女』のドイツ初演をはじめ、『エレクトラ』『サロメ』『ばらの騎士』といったリヒャルト・シュトラウスの主要オペラを積極的に紹介していました。また1949年からのメトロポリタン歌劇場時代の幕開けを飾ったのが『サロメ』であり、このセンセーションナルな上演と成功こそが、アメリカにおけるライナーの名声を確固たるものとし、シカゴ響の音楽監督就任への道を作ったとも言われています。以後、ライナーは米RCAにシカゴ響との多くの名録音を残しましたが、それ以外のオーケストラとの録音を英デッカにも残しました。ただし、ハンガリー出身のライナーの厳格な造型性は、恣意的な崩れを許さない。ライナーはオーケストラを思うがままに引っ張ってゆく豪腕で知られた指揮者であったが、ウィーン・フィルでも情感と引き締まった指揮ぶりを見せた演奏。リズム感溢れた颯爽とした指揮なのだが、同時に全体がゆったりとした豊かな情感に包まれた演奏であることに気付かされる。手兵シカゴ響同様ライナーの厳格な統制の下、隅々にまで行き届いた緊張感があり、指揮者特有の美学に貫かれた名演が展開されています。

ウィーン・フィルとはこの時に4週間をかけたヴェルディの「レクイエム」も録音したが、帰国後。心臓病の発作をおこして入院、すべてのコンサートをキャンセルして療養を余儀なくされた。病状に自覚があったのかは知らないが、予感のようなものはあったのではないだろうか。余りにも厳しい要求をするためにシカゴ響の楽団員たちに嫌われていたライナーと、並みいる指揮者達に対しても「我々の音楽を邪魔しないでくれ」と楯突くことも厭わなかったウィーン・フィルの楽団員たちとの競演。両者〝十八番〟と〝我等の〟リヒャルト・シュトラウスだけに、現代ではとても味わえないような名人芸のルバートが披露される。古き良き時代の演奏だと侮らずに聞いて欲しい。ツボにはまってしまうと、彼等の演奏でなければ満足出来ない境地に陥ること間違いなし。

Recorded 4 – 7 September 1956 in the Sofiensaal, Vienna. Engineer [Uncredited] – James Brown, Producer [Uncredited] – John Culshaw

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
ECS674
作曲家
リヒャルト・シュトラウス
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
フリッツ・ライナー
録音種別
STEREO

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • GB DEC ECS674 フリッツ・ライナー R.シュトラウス・テ…
  • GB DEC ECS674 フリッツ・ライナー R.シュトラウス・テ…

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
EX
製盤国
GB(イギリス)盤
PURPLE WITH SILVER LETTERING, STEREO 1枚組 (140g), Release 1966.

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  • オーダー番号34-14718
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