正しい表現をするということ*唯一の共演 リヒター=ハーザー、カラヤン指揮ベルリン・フィル ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
/ルーツを持つことは大切で、敬意を払って誇るものです。
しかし、言葉には様々な種類の言語があり、知らない言語との会話は理解できない。同じ九州内に生活していても、まともな会話にならないことも有るでしょう。それなのに、一方で音楽が「世界共通語」であるという誤った認識が従来よりある。音楽を楽しむだけなら、それで充分なのですが音楽をプレイする立場がそれでは困る。
『ルーツは誰ですか』と、2016年9月、長崎・佐世保で活動しているフルート奏者に問うた。ところが彼女の取り巻きが憤りを込めて「彼女の音楽は何かに似ているというものではない」と得意気に答えた。
ポロネーズはどういう踊りかを知ることがショパンの正しい演奏の理解になると勧められるのは今では良く有ること。チャイコフスキーのロシアの風土はトレパークが大事だ。ベートーヴェンの旋律はウィーンの民謡を借りている。モーツアルトのきらきら星変奏曲はフランスの遊び歌だし、初めてモーツアルトを聴いたトルコ人は、こんな子供だましが音楽なのか、といって笑ったそうだ。
同じ西洋の音楽であっても、ベートーベンばかり聴いていて初めてバッハを聴いたときは全く違う音楽のような印象を受ける。同じ作曲家であっても初めて聴く曲には、なんだかよく分からないという印象を持つ。何度も聴いている内に、その曲の良さや悪さが理解できるようになる。
「音楽的に弾く(吹く)」と言う意味をとり違えている演奏家は憐れです。
ヨーロッパ音楽の伝統の何たるかをしっかり把握していないものは、聴いていて虚しいばかりです。それはジャズでも同様です。ジャズには技法と作法があると黒田卓也さんが説いている。ジャズの歴史はクラシック音楽ほどではありませんが、歴史を知っているか知っていないかがミュージシャンには大切だ。インタープレイの相手が、どこの時代が好きなのかという言葉(言語)がわからないと会話ができない。ジャズ・ミュージシャン同士で重要視されている『NOW’S THE TIME』に関心がないと、アドリブもまともに出来ないでしょう。
それを置き去りにしてしまっている「楽器を弾ける」演奏家が郎党を組んでいるのは、どうしたもんじゃろの。彼らは自分たちが育った街を自慢できるだろうか、胸はって自分の会社を誇れるだろうか。またそれとは別に「音楽的に弾く」と言う意味をとり違えている人を見ました。これは下手をすると一生引きずってしまうでしょうね。ちょっとかわいそう。日本人は器用な民族なので、真似をして良いのです。そして先達に敬意を忘れずに、ルーツを誇りましょう。
ジャズのライヴでアドリブが、ただのメンバー紹介で、全くアドリブの様式に成っていない演奏は気持ち悪いが、最後で何十秒も長々と音を引っ張っているのも閉口してしまう。それは自分だけのエクスタシーに酔っているだけで、聴き手を疎かにしている演奏だ。音楽を聴いてもらうというのは、どちらが主体なのか、自分たちの満足を満たすのはリハーサルのうちに済ませて欲しいと思う。お金をもらって聴いてもらっていることを忘れてはいけない。特に、プロとして聴衆の方々に、瞬間芸術であるこの「音楽」を提供する場合には、もっと謙虚に、もっと慎重であるべきだと思います。必ずしも、その国、言葉のエキスパートであるべき、と考えるのは適切だとは思いません。ただ、日本人である以上、一流のプレーヤー足り得るためには、器用に逃げないで自分の血の中にない部分については学び取る必要があるのです。どんなに個性的な演奏も、結局は独善的なもので専門家的に聴けば説得力はありません。
通販レコードのご案内 DE C91 052 のジャケ違い。
《英ロイヤルブルー金文字盤》GB COLUMBIA CX1680 カラヤン&リヒター=ハーザー ブラームス・ピアノ協奏曲2番
- 例えばリヒター=ハウザーの演奏は地味ではあるけれど、細部に至るまで原典を研究しつくした音楽的な表現です。一般には、ケンプやバックハウスの陰に隠れてしまっている存在かもしれませんが、どちらかと言うと彼こそがオーソドックスな伝統を具現できる極めつけの名手だ。二人の名匠と比べてもヒケをとらないどころか、中古オリジナル盤市場では人気盤にあげられることで評判のほどが分かる。その確かなアーティキュレーションに知性を感じる。
当然、自己陶酔ではない。作品にフィットした「これしかない響き」の素晴らしさといったら、ヘルベルト・フォン・カラヤンと組んだブラームスの第2番も良い。華やかさの中に固い芯があり、アクセントの付け方が独特。そのピアニズムはカラヤン色に染まらない。
通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
-
レコード番号CX1680
-
作曲家ヨハネス・ブラームス
-
演奏者ハンス・リヒター=ハーザー
-
オーケストラベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
-
指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン
-
録音種別MONO
コンディション
-
ジャケット状態M-
-
レコード状態M-
-
製盤国GB(イギリス)盤
《コロムビア金文字レーベル(Magic Notes Royal Blue Gold Lettering)》モノラルの初版レーベル。濃い青色地に金文字がベースとなっており、中央に大きく COLUMBIA の文字が描かれ、上部にトレードマークの音符がある。33CXの1001から1949までの初版に使われている。コロンビアのモノラルレーベルの代表的なレーベル。
続きを読む 紹介正しい表現をするということ*唯一の共演 リヒター=ハーザー、カラヤン指揮ベルリン・フィル ブラームス:ピアノ協奏曲第2番